【基本】コーヒー品種ティピカ種とは?特徴や歴史について

コーヒー豆

ティピカ種は、コーヒー豆の品種のなかでも特に人気が高い品種です。

数あるコーヒーの品種の中でも、ティピカ種は長い歴史を誇ります。

しかし、現在ではティピカ種を飲める機会は少なくなっており、100%のティピカ種は希少です。

本記事では、ティピカ種の特徴・歴史・希少になっている理由について解説します。

ティピカ種の特徴

コーヒー豆

ティピカ種は、3大原種の1つアラビカ種の派生品種です。

ティピカ種の歴史はとても古く、アラビカ種の原種に最も近いとも言われます。

Point

3大原種はアラビカ種・ロブスタ種・リベリカ種を指します。それぞれの品種には派生した品種が存在。

ティピカの名前は、スペイン語の「標準的な」「典型的な」という言葉が由来です。

ティピカ種はブルボン種とならび、コーヒーの二大原品種とも言われています。

ティピカ種とブルボン種は「私たちが飲んでいるコーヒーのほぼすべての先祖」です。

ティピカの歴史

15世紀から16世紀にかけて、エチオピアからイエメンに伝わったコーヒーがティピカであったと考えられています。

その後、イエメンからインドやインドネシアに伝わりました。

イエメンの港町モカからは、オランダのアムステルダムへコーヒーの輸出が行われています。

港町モカについては、詳しくはモカコーヒーの歴史をご覧ください。

合わせてオランダでは、1714年ごろにはティピカ種の栽培が始まっており、後に南米へと伝わります。

さらに中南米へと伝わり、ブラジル・ペルー・コロンビアでも栽培がされていました。

中南米では、現在もティピカ種の主な産地になっています。

生産性が少なく、希少なコーヒー豆

ティピカ種は希少性が高い品種です。

現在では、ティピカ種100%のコーヒーを味わえる機会はあまり多くありません。

ティピカ種が希少な理由は主に2つ。

  • 害虫や霧への耐性が弱い
  • 収穫まで時間がかかる

それぞれについて解説します。

病害虫や霧への耐性が弱い

ティピカ種は、アラビカ種の派生であるため、病害虫にとても弱い品種です。

また、霧にも弱いため、多くのコーヒー豆を収穫できません。

高い需要を受けて、品種改良が続けられていますが、需要に供給が追い付いていないのが現状です。

一方、品種改良によって生まれた新たな品種は、世界中に広まりを見せています。

収穫まで時間がかかる

ティピカ種は、収穫までの時間が長く、約4年ほどの年月を必要とします。

豊かな土壌を維持し、直射日光を避ける環境を用意するため、コストも生産者の負担に。

需要はあっても、なかなか生産量が増加していません。

ティピカ種の風味

ティピカ種は、優雅な酸味と極上の甘みが特徴です。

繊細で澄んだ味わいは、多くの方に人気があります。

また、透明感のある香りは、花のような魅力をまとっています。

しかし、純粋なティピカ種はほとんどないため、テイスティングでティピカの味を判断できる人は少ないと言われています。

ティピカ種の主な生産国

コーヒー豆

ここまで、ティピカ種の特徴について解説しました。

ティピカ種は人気が高く、古い歴史を持っていますが、希少で100%はなかなか飲める機会のない品種です。

以下では、ティピカ種の主な生産国について解説します。

ブラジル

コーヒー大国のブラジルは、ティピカ種が伝わったのは、ほか生産地に比べ遅い時期です。

しかし、広大な大地でティピカ種を栽培しており、中南米の中心地となっています。

コーヒー大国ブラジルにおいても、ほか品種に比べれば、ティピカ種の生産量は非常に少ないです。

コロンビア

コロンビアは、中南米においてブラジルに次いで人気のコーヒー産地です。

コロンビアでは、かつてはティピカ種を栽培していましたが、現在は品種改良された品種が主。

純粋なティピカ種は少なくなりましたが、新たな品種を楽しめる機会は増加しています。

ジャマイカ

ジャマイカのティピカ種といえば、ブルーマウンテンコーヒー。

世界3大コーヒーのひとつであるブルーマウンテンコーヒーは、ティピカ種が突然変異してできた品種です。

ティピカ種から派生した主な品種

コーヒー

ティピカ種は品種改良が盛んにおこなわれていますが、自然こう配や突然変異で生まれた品種も存在します。

普段よく目にする品種のなかにも、ティピカ種から派生した品種が。

以下では、ティピカ種から派生した主な品種について解説します。

ブルーマウンテン

日本で人気の高級銘柄ブルーマウンテンは、ティピカ種が突然変異してできた品種です。

ブルーマウンテンは、さび病に弱く、収穫量が少なくなる場合も。

ブルーマウンテンコーヒーについて詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてみてください。

>>【入門】ブルーマウンテンコーヒーはどんな味?特徴やおいしい飲み方について解説

コナ

ハワイのコーヒー栽培は、ティピカ種がブラジルから輸出されて始まりました。

ティピカ種をルーツにもつ、ハワイのコーヒーの多くはティピカ種からの派生です。

ハワイの代表的なコーヒーである、コナコーヒーもティピカ種から派生しています。

ブルボン

ブルボンは、ティピカ種がブルボン島で突然変異してできた品種です。

ティピカ種と並び歴史のある品種で、二大原品種とも言われます。

ティピカ種同様に風味優れた品種ですが、収穫量が少ない点が問題に。

一部地域を除き、品種改良された品種にとって代わられてしまいました。

かつて日本のUCCコーヒーがブルボン島で絶滅しかけていたブルボンポワントゥを復活させたエピソードは有名です。

スマトラ・マンデリン

インドネシアで栽培されるスマトラ・マンデリンもティピカ種から派生した品種です。

インドから盗まれたティピカ種をジャワ島で栽培し始めたのが、スマトラ・マンデリンのスタート。

現在では、ロブスタ種の栽培が多いインドネシアですが、マンデリンコーヒーの本来の品種はティピカ種です。

マンデリンコーヒーについて詳しく知りたい方はこちらをチェックしてみてください。

>>【入門】マンデリンはどんな味?特徴やおいしい飲み方について解説

ケント

ケントは、インドで発見された自然こう配の品種です。

ティピカ種と他の種の雑種と言われています。

インドのマイソール地方で農園を営んでいたケント氏が発見したため、名前の由来になりました。

現在では、タンザニアで栽培されています。

マラゴジッペ

マラゴジッペは、ブラジルで発見された突然変異種です。

ブラジルのマラゴジッペ区で発見されたのが名前の由来となりました。

大粒のコーヒー豆は、丈夫で存在感があります。

非常に樹高が高く、葉や実が大きいのが特徴。

収穫が難しく、生産量が低い品種でもあります。

ムンドノーボ

ブラジルで発見されたムンドノーボは、スマトラとブルボン種の自然こう配によって生まれた品種です。

ムンドノーボは、個性豊かな風味でブラジル国内で大変な人気を誇ります。

ポルトガル語で「新世界」という意味を持ったムンドノーボは、環境の変化や病害虫にも強く、収穫量も多い品種です。

まとめ

本記事では、ティピカ種の特徴・歴史・希少になっている理由について解説しました。

ティピカ種は、アラビカ種の派生品種であり、もっとも原種に近いとも言われます。

残念ながら、純粋なティピカ種を味わえる機会が、少なくなっており、その理由は生産の難しさや栽培の年月にありました。

一方、品種改良されたコーヒー豆は増加しており、新たな美味しいコーヒーと出会える機会は増えています。

ティピカ種を飲む機会がありましたら、ぜひ歴史に思いをはせながら味わってみてください。

投稿者プロフィール

ryonote
コーヒー歴10年以上。コーヒーと紅茶を愛するwebライター。
喫茶店が大好きで、新しい味わいとデザインに出会うために日本中を旅しています。
webマーケティングやwebデザインも手掛ける。最近の趣味はインドアガーデニング。