【基本】アラビカ種とは?コーヒーの原種について【特徴・違い】

コーヒー豆

普段、コーヒーを飲んでいるときにあまり意識する機会のない、コーヒーの品種。

ですが、本格的にコーヒーを学ぼうとする方には必ずと言って良いほど目にする品種がアラビカ種です。

アラビカ種は3大原種の1つであり、世界中で愛飲されているコーヒーの60~70%を占めています。

世界的に有名なスターバックスコーヒーはアラビカ種のコーヒー豆100%。

コーヒーの3大原種は、アラビカ種・ロブスタ種・リベリカ種がありますが、特にアラビカ種とロブスタ種が多く流通。

本記事では、アラビカ種の特徴・主なアラビカ種などについて解説します。

アラビカ種の特徴

コーヒー豆

コーヒーは、3大原種がありますが、アラビカ種とロブスタ種だけで、世界中に流通しているコーヒー豆の99%を占めると言われています。

そのため、アラビカ種とロブスタ種で2大原種と呼ぶ場合も。

更に、アラビカ種だけで60%~70%近くを占めるため、世界で最も生産されているコーヒー豆とも言えます。

アラビカ種のコーヒーは、強い酸味とフローラルな香りが特徴。

基本的にほかの原種に比べ、風味がよく、品質が高いとされています。

日本国内で提供されているコーヒーのほとんどもアラビカ種のものです。

厳しい栽培条件

アラビカ種の原産地はエチオピア。

標高1,000m~2,000mの熱帯高地での栽培に適した品種です。

Point

現在では中南米、アフリカ、アジアのコーヒー生産県全域で生産されてます。

山岳地帯で栽培されるのが一般的で、栽培と収穫には大きな労働力が必要です。

また、さび病や病害虫に弱く、栽培が難しいため、収穫量が少ないといった面があります。

栽培が難しく収穫量が少ないので、高価になりやすいです。

気候条件も厳しく、年間気温が18℃~21℃。

昼夜の温度差がしっかりと離れている必要があります。

そのため、夜は寒く、昼は暖かい地域での栽培が多いです。

アラビカ種の歴史

アラビカ種はエチオピアのアビシニア高原が原産地。

もともとは食用や薬用として利用されていましたが、13世紀ごろから飲料としての利用が始まりました。

突然変異や交配を繰り返しながら、アラブやヨーロッパを経て世界中へ伝えられています。

近年では、人工的な交配により、風味がよく病気に強いアラビカ種を生み出そういう研究が盛んです。

現在の主流

アラビカ種は品種改良が盛んで、さまざまな品種が生み出されています。

ティピカやブルボンといった古くから存在する在来種は風味に優れていますが、収穫量が少ない点が問題です。

一方、低木で手入れがしやすく、収穫量が多いカトゥアイ(カツアイ)の栽培が増え、現在の主流になっています。

Point

カトゥアイは、ブラジルのサンパウロの農園で人工的な交配により作られた品種。

アラビカ種の主な派生品種

コーヒー豆と焙煎機

ここまで、アラビカ種の特徴について解説しました。

アラビカ種には多くの派生品種が存在します。

以下では、アラビカ種の派生品種をまとめました。

ティピカ種

アラビカ種の原種に最も近いと言われているのがティピカ種です。

コーヒー豆の多くの品種は、ティピカ種の品種改良や突然変異によって生まれました。

豆の形状はやや細長く、先端がとがり気味。

優れた香り・酸味・コクを持った品種ですが、収穫量が少なく、病気に弱いため、ほか品種への植え替えが進んでいます。

Point

需要は高く、一部地域では栽培が続けられています。ですが、100%のティピカ種を味わえる機会はほとんどなくなってしまいました。

ティピカ種について詳しく知りたい方はこちらをチェックしてみてください。

>>【基本】コーヒー品種ティピカ種とは?特徴や歴史について

ブルボン種

ブルボン種は、ティピカ種の突然変異で生まれた品種です。

ティピカ種とあわせて2大原品種と言われています。

小ぶりで丸い形状をしており、特有の甘みがあるコーヒーです。

残念ながら、現在では一部地域を除き、より生産性の高い品種にとって代わられています。

カトゥーラ

カトゥーラは、ブルボンの突然変異種です。

ブラジルで発見されたカトゥーラは、病気に強い特徴を持っています。

良質な酸味と渋みが強い味わいで、人気がある品種ですが、栽培に大きなコストがかかるデメリットも。

コロンビアやグアテマラで多く栽培されています。

ムンドノーボ

ブルボンとスマトラの自然交配により誕生したのがムンドノーボです。

病原菌に強く、栽培しやすいメリットを持っています。

育成に少し時間がかかりますが、酸味や苦みのバランスがよく、人気のある品種です。

カトゥアイ

現在の主流であるカトゥアイは、カトゥーラとムンドボーノの人工的な交配種。

病気や霜に強く栽培がしやすく、収穫量が多いのが特徴です。

一方で、風味はムンドボーノよりも落ちるとされています。

パカマラ

パカマラはエルサルバドルで人工的に作られた交配種です。

ティピカ種の突然変異種マラゴジペとブルボン種の突然変異種パカスを交配。

種子が大きく、特徴的な香りをまとったコーヒーです。

エルサルバドルやグアテマラで主に栽培されています。

アラビカ野生原生種

コーヒーノキ

ここまでアラビカ種の派生品種について解説しました。

多くの品種はティピカ種やブルボン種から品種改良されています。

一方で、エチオピアやイエメンと言ったコーヒーの源流国では、ティピカ種やブルボン種系統に属さない原種に近いコーヒーが栽培。

とくにエチオピアでは、これらのコーヒーを「野生原生種」と呼びます。

近年の研究では、イエメン独自の品種群が発見され、大きな衝撃を与えました。

原生種には魅力的な香りや優雅な酸味を持ったコーヒーが多くあります。

しかし、アラビカ種の弱点である生産性が低く、病気に弱いという点も同様です。

Point

原生種はどうしても高価になりやすく、国内では買付が難しい品種とされています。

まとめ

本記事では、アラビカ種の特徴・主なアラビカ種などについて解説しました。

アラビカ種は世界中に流通しているコーヒーの60%~70%を占める品種です。

高い品質と優れた風味を持っていますが、栽培が難しく収穫量が少ないという問題点もあります。

問題を解決するため、さまざまな品種が品種改良により生み出されていますが、原種に近いコーヒーへの需要も根強いです。

ティピカ種やブルボン種の100%コーヒーはなかなか飲む機会がありませんが、ほかにも優れた品種はたくさんあります。

ぜひ、さまざまなアラビカ種を味わい、違いを楽しんでみてください。

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投稿者プロフィール

ryonote
コーヒー歴10年以上。コーヒーと紅茶を愛するwebライター。
喫茶店が大好きで、新しい味わいとデザインに出会うために日本中を旅しています。
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